「ドリルを売るには穴を売れ」 2007年 / 佐藤義典
僕がインターネットビジネスを学ぶにあたり最初に読んだ本です。
この手の情報は常に進化しているはずですが、2007年発刊のこの本は、あくまで基礎中の基礎、つまり土台になっているわけで、古いも新しいもありません。
守破離の「守」にあたりますね。
この本はマーケティングをこれから学ぶという初心者をターゲットにしています(この本を読んだが故に“ターゲット”という言葉を自然とチョイスする事が出来ました)。
帯に書いてある通り、お客様はモノではなく価値を買っているという事を、筆者の解説と物語を織り交ぜてわかりやすく解説してくれています。単純に小説としても面白い内容です。
余談ですが、テレビ局は、恋愛系のドラマより、こういったビジネス系のドラマをもっとやるべきだと思いますけどね。ビジネスマンを視聴者として獲得できるはずなのに…。
この本は全5章で構成されています。
1.ベネフィット=顧客にとっての価値
2.セグメンテーションとターゲティング=顧客を分けて絞る
3.差別化=競合よりも高い価値を提供する
4.4P=価値を実現するための、製品・価格・販路・広告
内容も簡潔で分かりやすのですが、第5章で、各章の点と点が繋がるという素晴らしい構成になっています。
5章のテーマが…
5.強い戦略は美しい
です。
「マーケティングは常に現場で起きている。」
これは、この本の中で頻繁に登場する言葉です。
例えば、僕を例にします。
僕は週に一回コンビニでガムを購入します。キシリトール配合のガムです。
一見、単にガムを買っているように見えますが、僕は職場の環境上、昼食後に歯を磨く事が出来ないので、キシリトール配合のガムを買うのです。
このガムは、単に嗜好品としてのガムを売っているわけではなくて、歯の健康という“価値”を売っているという事です。
低価格なので量を売る必要があるはずです。だからテレビやラジオなどメディアを駆使したCM展開をしています。
ターゲットは中々歯を磨く事が出来ない外回りの営業マン、またはドライバーでしょうか?だとしたら男性がメインターゲットのはずです。だからパッと入店ができるコンビニがメインのチャネルになるのでしょう。さらに販促として店頭ポップも踊っています。味もストロベリーとかおしゃれなものより、口臭にも考慮したミント系のシンプルなものが多く、パッケージも子供や女性向けのデザインではありません。
もしかすると、よりこだわりを持った人のために、ネットでは◯個セットでお得とか、外出に便利なガムケースとか、なにかしら付加価値を付けて販売しているかもしれません。
そもそも、キシリトール=歯の健康という情報を、マーケティングによって知らず知らずのうちに認知させられています。
買い手の向こうには売り手がいて、売り手の向こうには買い手がいる。
価値とは何か?どうやって売るのか?
この本一冊で大きな一歩を踏み出す事が出来ます。
「知る」ということは楽しいです。
もっと早くにマーケティングを勉強していれば、前職のリフォーム会社とか、ディスカウントストアとか、不動産屋とか、携帯電話販売会社とか、もちろん音楽活動にも、なにかしら皆んなの助けになっていたかもしれません。