ニュー・シネマパラダイスとUnder Pressure
初めてニュー・シネマパラダイスを観賞したときの感動が忘れられない。
シチリアの美しい海。
娯楽を求め映画館に集まる街の人々。
映写技師と少年の友情。
戦争。
帰ることのない父。
少年の成長。
青春。
恋。
ノスタルジアと追憶。
映画の世界観を際立たせる音楽。
ラストシーン。
今年の元旦は、そんな忘れられない映画を視聴するところから始まった。
これで4回目の観賞になる。
僕は完全版しかみたことがない。
Filmarksのような映画のレビューサイトをみるに、完全版の評価は、劇場版と比べて高くはないようだ。
理由としては、完全版と劇場版では、映画から受ける印象がガラリと変わることにあるらしい。
友情と恋、主人公の半生を映し出す完全版とは違い、劇場版では、主人公と映像技師アルフレードとの友情や絆にスポットが当たっているようだ。
そういう評判を聞くと、確かに、完全版と劇場版では、あのラストシーンの印象が変わってしまうと想像できる。
劇場版を視聴できる機会があれば、ぜひ観てみたい。
この映画は、映画ファンの間では至高の名作に位置づけられているけど、思うに、まだ見たこと無い人に説明をしようとすると、なかなか難しい映画だと思う。
唯一無二と言っていいほど、他の映画には無い世界観と、視聴後に動けなくなってしまいそうなほど心に迫る儚さ。
もしかすると、今後このような映画は出てこないのでは?
とさえも、思えてしまう。
また、この映画の脚本は素晴らしく、印象に残るセリフがあちこちに散りばめられている。
その殆どが、登場人物の映写技師、アルフレードの言葉。
「お前とはもう話さない。お前の噂を聞きたい」
(アルフレードが主人公に「街を出ろ」と語りかけるシーン)
「自分のすることを愛せ。子供の頃に映写室を愛したように」
(主人公を駅のホームで見送るときのセリフ)
他にもいっぱいあるけど、今思いつくのはこれぐらいかな。
音楽は言わずもがな。
映画史に残る名曲かもしれない。
ラストシーン。
初めてニュー・シネマパラダイスを観賞した時、僕はエンドロールを全て観終えて余韻に浸っていた。
ふと、僕の頭の中を、とあるミュージックビデオがよぎる。
それがQueenとデビット・ボウイ共作のUnder Pressureだった。
この曲は、狂気的な今の世の中でも、愛を信じ、愛を願う思いが込められた曲だと解釈している。
学生の頃にQueenのミュージックビデオに嵌っていた僕は、特に後半の♪give love give love~のシーンが大好きだった。
「美しい」
そう思っていた。
これが、ニュー・シネマパラダイスのラストシーンと完全にリンクしてしまっていた。
「美しさ」は、「儚さ」とか「切なさ」と同居していると思っている。
ニュー・シネマパラダイスの美しさは、まさにそれだ。
今度観賞するのはいつになるだろうか。
必ずまた観賞すると思う。
僕にとって、それほど大切な映画。
大切な物語。
大切な登場人物たち。
大切な台詞。
大切な音楽。
何もかもが「美しい」
この映画に出会えてよかった。
きっと、一生忘れない。
おわり